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堀田経営コンサルティング事務所
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気持ちを込めて作成したPOPでも見にくければ意味が無くなります
[記事公開日] 2009/12/07
[最終更新日] 2009/12/07
店舗を回っていると、様々なPOPが見受けられます。
少し惜しいのが、内容はいいのに字が小さすぎるものや、色を使いすぎて見にくくなっているものが増えてきている事です。
特に、グラデーションの文字や、縦方向などに引き伸ばしすぎた文字は見にくいので注意が必要です。
POP作成の基本事項を下記に記載しますので、参考にしていただければと思います。
POP作成の基本事項
① 基本は「手書き」
② キャッチフレーズは大きく
③ 商品のポイントは箇条書きにする
④ 文字の大きさにアクセントをつける(引き伸ばしすぎ、文字サイズに注意)
⑤ イラスト部分を除き、文字・数字は3色以内に
⑥ 書式は統一させる
⑦ 商品に合せた用紙サイズを用いる
⑧ 丁寧に書くこと
⑨ 特売品の価格は大きめに
POP(ポップ、ピーオーピー)はPoint Of Purchaseの略で、購買時点広告と呼ばれています。
家電量販店では本社配信POPの使用もありますが、補足する情報として販売員が作成することも多くあります。
ただ、POP作成に込める熱意が強ければ強いほど、情報を詰め込んで文章量が多くなったり、色数が多くなるため、結果として「見にくいPOP」になることも少なくありません。
ここでは販売員の方々の努力を無駄にしないよう、「POPの注意点」について次のような最低限の項目を説明します。
POPの注意点
図1:多色展開の例
POP全体では3~4色程度の色使いにおさめる方が見やすくなります。
色を多く使いすぎると文字の判別が困難になったり、読むことにすストレスが掛かるため、結果として「読まれないPOP」になるので注意が必要です。
図は多色展開の例であり、これはゴンドラ下の看板ですが、書かれている文字の判別ができず、特に遠くから見た場合は全くの判別不能となっています。
しかし、この看板を作成した担当者は「少しでも目立たせ、コーナーにお客様を引き寄せたい」という思いを持っているからこそ、ウッドパネルを切って価格部分を立体的に作成するなど、手間を掛けているのです。
こういった「善意での作成」があるため、店長や役職者が気付いた場合は言葉を選び、遠くから確認させるなど、丁寧な指導が必要になってきます。
これは看板といった広い意味でのPOPですが、通常よく作成される商品貼付用のPOPも同じことが言えます。
また、POPを目立たす手段として文字をグラデーションにしたり、引き延ばしたりする販売員がいます。
これも気持ちはわかるのですが、物理的に見にくくなるので注意してください。
図2:一文字に対するグラデーション例
図3:文字ごとに色を変えた例
図4:文字を引き延ばした例
図2は一文字の中にグラデーションが入っているパターンですが、黒で文字の縁取りをしているため、まだ文字としては判別できますが、縁取りが無ければぼやけてしまいます。
また、文字として判別できても色の配色がゴチャゴチャし、違和感が出ています。
図3は一文字ごとに色を変え、グラデーションにしているパターンですが、こちらは縁取りも無いため、黄色などの薄い色の文字が見えにくくなっています。
図4は文字を縦に長く引き延ばしたものですが、これも読みにくく、文字を読むのに時間が掛かるため、避けた方がいいでしょう。
こういった縦長の文字は価格(数字部分)で使用することが多いですが、数字以外には不向きであるため、注意が必要です。
POPにはイラストを入れる場合も多くあります。
イラストのポイントとして「実際の色よりも明るめの色を用いる」ということが挙げられます。
例えば、人物の髪の色は通常、黒色を用いますが、髪を黒色にすると全体の印象が重苦しく感じられます。
この場合、実際とは違ったとしても髪は茶色を用いると印象のいい躍動感のあるPOPに仕上がります。
同じように、紺ならブルー、赤ならピンクというように薄めの色を使うと同じ効果が得られます。
下記に同じ女性のイラストで髪の色を黒と茶色にしたものを掲載していますので、受ける印象を比べてみてください。
図5:髪の色を変えた女性イラスト
図6はエアコンに貼付されているPOPです。
エアコンは白色の機種が多いため、黒ベースのPOPは非常に目立ちます。
しかし、黒色を使用していることで「吹き出し口から出る風が、なんとなく不潔っぽい」ような感じはしないでしょうか?
エアコンや空気清浄機のように、「爽やかさ」「清潔さ」の印象があるカテゴリーに黒色は不向きです。
色を使用するならば、エアコンの場合、「夏は水色(冷房イメージ)」「冬はオレンジ色(暖房イメージ)」といった色が適しています。
このようにエアコンに限らず、商品のイメージが一般化している商品は、イメージに合わせた色を選ぶことが大切です。
図7は都心の「ある家電量販店」のデジカメ売場に貼付されていたPOPを再現したものです。
このPOPがほぼ全てのデジカメについていたのには驚かされました。
お客様は買い物に当たって「想定時間」があり、この想定時間を超えると不満につながります。
例えば、デジカメの場合、「約20~30分」であり、この時間内にレジ精算までを終わらせることが大切です。
図7の場合、私の研修で全員に読んでもらっていますが、早い方で20秒くらい、遅い方で35秒くらい掛かっています。
これは「読み終わる」までの時間であり、専門用語の書かれている内容を理解するには2~3分は掛かるでしょう。
間を取って読むのに30秒掛かるPOPが30機種全てに貼付されていれば、読むだけで15分掛かる計算となり、比較する時間も残されないでしょう。
その為、実際には「読まない」というお客様が殆どであり、結果としてPOPの役割を果たしていないといえるでしょう。
ただ、これだけの文章量のPOPを約30機種に貼付するという販売員の努力は純粋に「すごい」と思います。
こういった間違いを起こさないためにも、お客様の買い物想定時間を考えるとともに、POPの役割(商品カテゴリーによって違う)を考えてみることが大切です。
昔はよく、「売れ筋No.1」といったPOPを目にしましたが、今は「おすすめNo.1」といった表現に変わっています。
これは平成20年6月13日に公正取引委員会が「No.1表示に関する実態調査について」という実態報告書を出したのを受け、誇張した表現を自粛しているからです。
この実態報告書は、『広告等の表示物において,「No.1」,「第1位」,「トップ」,「日本一」などと強調する表示(いわゆる「No.1表示」)について,その具体的根拠が記載されていない,分かりにくいとの指摘があることなどから,消費者モニターを活用してNo.1表示に関する実態調査を行い,景品表示法上の考え方を整理。』といった目的のために調査されたものです。※『』は公正取引委員会HP(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/cyosa/cyosa-hyoji/h20/08061302.html)から引用
現在は消費者庁に移管されているため、筆者が消費者庁に電話で確認したところ、「そういった表示で苦情が入れば立ち入り検査を行う場合もある」ということでした。
「いつからいつまで」という期間を区切り、POSデータ等で実際に「売れ筋NO.1」なら問題はありませんが、リスキーなため「おすすめ」を使うことが望ましいといえるでしょう。
また、家電量販店では目にすることはありませんが、「嘘の表記は厳禁」ということについては説明するまでもありません。
コンプライアンスを重視し、表現方法には特に気を付けていただきたいと思います。
これはPOPの内容に関する注意事項ではありませんが、非常に重要なことです。
十分に理解されていると思いますが、POPの作成は「買っていただく」ことが目的であり、お客様が来られているのに事務所にこもったり、売場でもPOPを書き続けるというのはナンセンスです。
パソコンで作成する場合は事務所に入ってという場合もあるでしょうが、その場合でも事務所にいる時間を最小限にするため、「原案は売場で考える」ことが大切です。
お客様が来られれば「すぐに手を止めて接客を・・・」という、早くべったりと付くことを言っているのではなく、「視野に入れ、アプローチのタイミングを計ろう」ということです。
その場合、お客様から呼ばれたら負けであり、お客様の動きを気に留めるということが大切です。
また、POP作成の手を止めれば、速やかに最小限の片付けを行ってから接客するということをクセ付けしましょう。
その為にも、呼ばれるよりも一拍早いアプローチが必要なのです。
以上がPOP作成にあたっての一般的な注意点です。
お客様の視点でPOPを作成し、実績につなげていただきたいと思います。
また、これらの基本に加え、「POPの重要ポイント」ではPOPの一番大切なことについて筆者の考えを説明していますので、ぜひ、確認してみてください。
一級販売士 堀田泰希
堀田経営コンサルティング事務所 代表
●カスタマー・クリエーター
●1962年生まれ 大阪府大阪市出身
●大手家電量販企業の幹部職を務め、2007年 堀田経営コンサルティング事務所を創業。マーケティング・営業に特化した研修・コンサルティングを行い、一部上場家電量販企業、大手家電メーカー販社での企業内研修は年間約60本を数える。中小企業は大阪限定とし、年間延べ100回を超えるコンサルティングを実施。
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