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堀田経営コンサルティング事務所
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購入したい商品が品切れしていればお客様は「あきらめるか」「待つか」の選択を強いられます
[記事公開日] 2008/08/25
[最終更新日] 2019/09/14
目次
1.人為的ミス
2.メーカー・自社物流在庫切れ
3.定番外商品
購入したい商品が品切れしていれば、お客様は「あきらめて帰る」か、「注文して再来店する」か、という選択に迫られます。
目当ての商品が品切れしていて帰られれば、買上点数には反映しない「見えない売り逃し」になります。
また、目当ての商品を購入し、ついで買いを考えていた商品の場合で待っていただけないなら、買上点数の減少につながります。
では、品切れはどのようにしておこるのでしょうか?
一般的に家電量販店で起こる品切れ要因については、次の3つになってきます。
それでは、この3つについて説明していきましょう。
店舗として一番基本的なことは、内部要因である①の「人為的ミス」を0にするということです。
この「人為的ミス」には、大きく分けて2つの項目があり、
A:定番商品の品切れ
B:入荷確認ミス
―――になります。
定番商品の品切れはどうすれば効果的に削減できるのでしょうか?
定番商品の品切れの場合、自動発注の定数変更がうまくいっていないことが考えられるため、売れ筋商品の把握・再確認が必要になります。
特に大物商品などの主力商品の場合、パレート分析という手法で販売状況を把握し、発注点の変更に用いると効果的です。
パレート分析とは、販売の多い順に並べて全体に占める構成比を累計して計算していく方法です。
一言で「販売の多い順」といっても、「売上高か?」「粗利額か?」「台数か?」、どれを基準にすればいいのか疑問が生じますが、“品切れ防止”という観点から在庫を考える場合、台数ベースで分析するのが一般的です。
多くの場合、商品カテゴリーの総販売台数の70~80%は、その商品カテゴリーのアイテム数の20~30%の商品によって構成されています。これをグラフ化したのがパレート図です(図1はイメージ図)。
図1:パレート図のイメージ図
パレート分析の手順は下記の通りです。
図1ではわかりやすくするために、月次総販売台数100台として計算しています。
まず、販売台数の多い商品から順番に並べ(この場合はA型番~J型番)、それぞれの月次販売台数を記載しています。
次にAの販売台数にBの販売台数を足し、その和にCの販売台数を足す・・・というように、販売台数を累計した数字が図中の「累計」です。
この累計台数を総台数の100で割ったのが図中の「構成比」になります。
これをグラフ化したのが図1であり、70%~80%がどの商品のところにくるかを確認します。
図1ではA+B+Cのところで76台、Dで86台となっていますので、A~Dの4型番は絶対に在庫を切らしてはいけない型番になります。
家電量販店の場合、「売っていく商品」が決まっていますので、このA~Dの型番が拡販指定機種と一致するように展示・POPを工夫することが望まれます。
また、在庫回転率が求められるため、拡販指定商品と言えど「持って在庫は一週間分」に抑える必要があります。 月次型番別販売台数や週次型番別販売台数、自他店の型番別ベスト20などを利用し、在庫数を決定するといいでしょう。
一週間で販売台数0の商品い在庫は必要ありません。
同等機能で同一価格帯の商品があれば、定番ランクの低い方の在庫を0にします。
接客効率を上げるため、在庫の無い商品を接客しないように、目印としてプライスにクリップをつけるのも効果的です。
※企業や店舗によって、「在庫数をクリップ」したり、付箋で実施しているところがあるなど、方法は様々です。
次に小物・消耗品ですが、インクカートリッジなどは高額消耗品ということもあり、盗難防止のために「お買い上げカード」での対応が主流になっています。
基本は売場のお買い上げカード枚数と在庫数を一致させることですが、手間がかかるため、なかなか実施するのは困難です。
しかし、困難だからといって放置すれば売上高の減少やクレームの増加につながります。
お客様からすれば、お買い上げカードを持って長時間レジに並ばれ、やっと自分の番がきたときに「品切れ」と言われれば、文句の一つも言いたくなるでしょう。
このようなセルフ商品で謝ってばかりいては時間がいくらあっても足りません。
こういった不都合を解消するには“工夫”が必要であり、例えば、お買い上げカードの枚数を「定数」よりも少なくすることも、その一つです。
この場合のフローをインクカートリッジで示すと下記の通りです。
インクカートリッジお買い上げカード
※インクカートリッジは単価が数千円と高いものが多く、盗難防止のために左写真のように「お買い上げカード」を使用しています。商品は主にレジ裏在庫になっていますので、このカードをレジに持っていくと該当の商品を出してくれるという仕組みです。
お買い上げカードの枚数をインクカートリッジ(特定型番)の「在庫定数」よりも少なく店頭展開する。
お買い上げカードの最後(一番後ろ)のカードは目印を付ける。
他に注意しなければならない商品は、プラモデルの塗料のような特性を持った商品です。
プラモデルには複数の塗料が必要です。
お客様は「必要な塗料を一店舗でまとめて購入したい」と考えています。
5色必要なのに4色だけを購入し、あとの1色を他店で購入するといった行動は取りません。
1色の在庫切れが、使用する全ての塗料の売り逃しにつながります。
カメラのレンズフィルターなども同じような傾向にあります。
意外と多いのが入荷確認によるミスです。
自動補給システムが一般的になり、新製品や定番品などは担当者が発注しなくても自動的に納品されるようになっています。
折角の新製品が担当者の定休日に納品されたために、倉庫の中に放置されていたという経験はないでしょうか?
これも、広い意味での品切れになってきます。
しかも、入荷しているにもかかわらず展示ができていないということは、売れるチャンスを自ら放棄すると共に、在庫負担を助長するだけです。
この防止策は次の通り、基本の徹底になります。
まず、小物・消耗品については店長やフロア長などの役職のルーチンワークとして対応することが重要です。
店長やフロア長は自分が接客を行う機会は少ないでしょうが、一日に数回、店舗内を巡回してお客様の状況や売場訴求、店舗設備の整備状況などを確認することが大切です。
この店内巡回時にワゴンやプランター、各小物・消耗品のコーナーもチェックし、商品が切れていれば、すぐに担当者に指示してください。
担当者は「接客」や「商品手配」などに追われ、なかなか自分では「小物・消耗品の品切れ」に気が付きにくいものです。
店長や役職者から指摘を受けると、少しずつ意識が高まりますので、「業務を通じた指導の一貫」という感覚で実施し、担当者が自分で気付くようになるまでその都度、根気よく、繰り返して指導するといいでしょう。
次に主要カテゴリーの商品ですが、各量販店では売価変更や処分価格、そして新製品の入荷予定などが、カテゴリーごとに社内メールや電子掲示板など、形は様々ですが各担当者へ重要事項として通達があります。
店長や次席者は、この通達を全カテゴリーにわたって確認してください。
コーナー責任者も、自分のカテゴリーについては全て確認する必要があります。
処分価格や売価変更はその場で処理できますが、特に新製品の入荷情報に関しては、入荷まで日数が空くため、担当者が忘れることも考えられます。
新製品の入荷の通達については台帳を作成(図2参照)し、各コーナーごとに入荷日をまとめるのも一つの方法です。
図2:新製品予定表の一例
この台帳を基に「朝礼時に本日の新製品入荷情報を伝え、入荷と共に展示展開することを指示し、その展示を確認すれば台帳の該当型番を斜線で消す」といった運営を行えば新製品の出し遅れは防げます。
また、担当者には定休日(自分の休み)明けの朝一番に必ず倉庫をチェックすることをルール化すれば、新製品に限らず定休日に納品された商品を把握してもらえます。
これは、担当者が休みの日に入荷済みであるにもかかわらず、展示や在庫補充できていない状態を防止するためです。
この2点を徹底したうえで最後の詰めに利用できるのが「棚卸」です。
棚卸が「どの棚番号でどの商品をカウントしたか」がわかり、店頭展示分と在庫分とが棚番号で区分されるシステムになっていれば、店頭展示カウントが0で、在庫で本数が上がっている商品をチェックすれば、店頭に出ていない商品が特定できます(店頭モックというケースも有り)。
次にメーカー・自社物流倉庫での在庫切れについて解説します。
店舗側では防止困難な項目ですが、以下の事柄に注意して下さい。
定番外商品など、「展示・在庫の無い商品」の情報はお客様の特注を受けるまで把握できません。
これらの情報を一番よく知っているのが販売員です。
筆者の場合は、販売員に毎日提出してもらう日報をオリジナル作成していたため、この日報に「展示の無い商品」のメーカー名と型番をもらい、自分で集計していました。
これも週単位で同一商品に何回の問い合わせがあったかによって、定番外商品や部品でも在庫することを検討しました。
この定番外商品や定番ランクが低く、通常在庫していない商品の需要はシーズン性を伴う場合も有ります。
例えば、数年前に良く販売したビデオカメラやデジカメのバッテリーなどは定番ランクが下がるなど在庫できない場合や、定番で残っていても定数が削減され、1~2本の在庫しかない場合もあります。
このような場合、運動会前などの需要に対応できなくなるため、事前に「数年前の売れ筋ビデオカメラのバッテリー」の定数を上方修正依頼しておくことが大切です。
バッテリーは単価が高いため、品切れ状態では売上高に影響します。店長は担当者が気付いていない場合は「教育の絶好の機会」ですので、考え方と取るべき行動を教えてあげて下さい。
POSシステムで、販売した商品の情報は手に取るように分かります。
しかし、POSで把握できない情報もあります。
「展示の無い商品の問い合わせ」を始めとして、「売れなかった理由」や「どの商品と比較されたか」など、アナログで掴むしかない重要な情報も数多くあります。
その情報収集の仕組みを創るため、販売員からのヒアリングが大切になってきます。
一級販売士 堀田泰希
堀田経営コンサルティング事務所 代表
●カスタマー・クリエーター
●1962年生まれ 大阪府大阪市出身
●大手家電量販企業の幹部職を務め、2007年 堀田経営コンサルティング事務所を創業。マーケティング・営業に特化した研修・コンサルティングを行い、一部上場家電量販企業、大手家電メーカー販社での企業内研修は年間約60本を数える。中小企業は大阪限定とし、年間延べ100回を超えるコンサルティングを実施。
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