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堀田経営コンサルティング事務所
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生きた商品知識の習得はスムーズな振替提案を可能にしてくれます
[記事公開日] 2010/04/03
[最終更新日] 2019/09/16
目次
1.生きた商品知識とは?
2.商品知識の種類
一品単価UPの手法として、
① 「お客様の意図した商品」にプラスαの機能から得られるメリットを提案し、上位機種に「振り上げ販売」を行う
②わざと最高額商品から説明して不要機能を省く接客から、通常より高価な拡売商品に着地させる「振り下げ販売」を行う
―――といった接客があります。
これらをスムーズに行うには「生きた商品知識」が必要になってきます。
商品知識について説明する前に、「商品知識の考え方」を整理しておきましょう。
接客で使う商品知識は、商品の仕様・機能の知識だけではありません。
店舗での接客を見ていると、お客様の「どこが違うの?」という質問に対し、「こちらはフラッシュメモリーが〇〇GBで、スーパーマルチドライブが云々‥・」と、商品仕様の違いを一所懸命説明している販売員がいます。
これではお客様はうんざりして、「また考えてきます」と言われ、結局は売り逃しにつながってしまいます。
もちろん、商品仕様を覚えることは重要ですが、それを噛み砕いて説明することに加え、「お客様の生活がどうかわるのか?」を伝えることが大切なのです。
「生きた商品知識」とは、接客で使える商品知識であり、お客様が生活の中でこの商品を使用すれば、
●どういったことが
●どれくらいの時間で
●どのようにでき
●どういったベネフィットが生まれるのか?
―――を具体例で示し、お客様に購入後の生活変化をイメージしてもらいやすくする知識のことです。
この知識を身に付けるにはFABE分析を行うのが効果的ですが、ここではその前段階として、商品知識の種類を説明します。
商品知識を分類して考えると、
1.メーカー別商品知識
2.単品別商品知識
3.ゾーン別商品知識
―――大きく分けるとこの3種類になります。
メーカー別の商品知識は、各商品カテゴリーでのメーカー別の特徴を把握するものです。
例えば、エアコンでAメーカーの特徴は空気清浄機能、Bメーカーは除菌機能に優れている、というように大枠で把握することです。
特に難しくはないので、店長が新入社員や担当歴の浅い社員の教育を行うにはここから始めて下さい。
お客様から「色々あるけど、どこのメーカーがいいの?」という質問は多くあります。
この場合、お客様の希望や使用状況を聞き出してメーカーを特定していきますが、特定する時に必要なのがメーカ一別商品知識になります。
自分の担当商品以外では意外と分からない場合も多いため、主要商品カテゴリーや担当売り場周辺の商品カテゴリーについて、大枠でのメーカ一別特徴を把握することは大切です。
繁忙期などで担当者が接客している場合は、担当者が空くまで他のメンバーが説明を行うことも少なくありません。
こうした場合にメーカー別の特徴を押さえておけば、お薦めするメーカーが絞り込め、あとはそのメーカーのカタログだけで説明する事も可能になり、接客時間の短縮にもつながります。
メーカ一別商品知識は販売員の一般常識として身に付けるとともに、販売員によって答えがプレないよう店舗で統一しておくとお客様の信頼感が増し、担当者に接客を変わってもらうときにもスムーズに引き継げます。
単品別商品知識は、担当者が十分に勉強しておかねばならない知織です。
ベテラン社員は新製品の知識を習得するだけで済み、勉強も積極的・効率的に行っています。
しかし、問題は新入社員への教育です。
以前は「先輩社員が接客していれば近くで掃除の振りをしてトークを聞いておくように」とか、「カタログを持って帰って家や通勤時間中に勉強するように」という指導が一般的でした。
しかし、現在では店舗人員の減少で、先輩社員の接客を確認する時間はありません。
まして「自宅で勉強を」などと指導しようものなら、労働組合や労働基準監督署が黙ってはいないでしょう。
現在の単品別商品知識の習得は待機時間にカタログを見ることや勉強会が中心になりますが、これに加えてOJTが非常に効果的です。
新入社員を教育するときには、POSの使用方法や販売台数・売上高などのデータを確認する方法を教えますが、これらは直接、接客の役には立ちません。
もし、データが活用できたとしても、販売自体に不慣れな間は「この機種が一番良く売れています」というようなトークになってしまうでしょう。
もちろん、POSの使用方法やデータの確認は非常に重要なため継続指導が必要ですが、併せて実施していただきたいのが「接客からの勉強」です。
「接客からの勉強」とは、接客時のお客様の状態・会話などをメモすることです。徹底的に次の項目をメモさせてください。
●どのようなお客様が
●何人で来店され(家族か、一人か)
●どの商品と比較され
●何を聞かれ
●何が購入決定のポイントだったか
●なぜ購入されなかったか(品切れ・価格・説明不足など)etc
これらはPOSに現れない非常に重要な項目です。これらの項目について、接客中や接客終了後にメモを取らせます。
これらはPOSに現れない、非常に重要な接客データであり、継続すれば「お客様は何を基準に購入を決意されるか」が明確になります。
接客トークやPOPに記載する内容が分かってくる上、接客能力向上のスピードが著しく早くなります。
実施当初は店長がメモを確認し、「どうやって売れたの?」と必ず質問して下さい。
そして、メモの内容を新入社員本人に話させることが重要です。
この時、店長はプレッシャーを与えないように聞き役に徹して下さい。
OJTの一環として、店長が社員にレビューを行う機会もあると思いますが、このときも同様です。
レビューの時に多いのが、店長が日頃気になっていることを一方的に話すことです。
これでは部下の能力は伸びてこないため、次のことを意識して下さい。
●部下に話させる
●質問して気付かせる
●部下の話の量が多くなるよう誘導する
このように、部下自身が話をすることで考えがさらに整理でき、自分で重要ポイントを理解するようになってきます。
この方法は新入社員だけでなく、他の社員にも有効です。
売上不振時には全員が接客中の会話のポイントをメモし、カテゴリーごとに情報を吸い上げることで、思わぬ原因が浮かび上がることも多くあります。
ゾーン別商品知識とは、各メーカーの同等クラスの商品を比較した場合の機能差の知識です。
店舗でよく見かける光景ですが、各メーカーのカタログを両手一杯に持ち、悪戦苦闘の接客をしている販売員もいます。
また、お客様の素朴な疑問として、例えば電子レンジのプライスPOPにスチーム機能付きと表示されていれば、「A社とB社のスチームはどう適うの?それとも一緒なの?」といった疑問が当然湧いてきます。
これらに効果的なのが「ラインアップ表」の作成です。
ラインアップ表とは、図1のようにカタログの最終ページ付近にあるスペック一覧と機能一覧を切り離し、クリアファイルに収めたもので、主要商品のポイントを3つ程度記載したものを付け加えます。
オリジナル商品の場合はプロパー商品の型番を書き換え、「オリジナル」と明記し、オリジナルポイントを記載して下さい。
前述の電子レンジなら、スチームのような主要機能はメーカー比較を記載しておくと非常に役立ちます。
これを商品カテゴリーごとに作成しておきます。
新入社員は接客中、説明を求められる機種が変わるたびに、商品の違いや特徴を先輩社員に尋ねます
カタログのどこを見ていいかも分からないため、お客様に迷惑を掛けてしまうことも少なくありません。
カテゴリーの商品情報を1冊にまとめておけば担当者が不在の時にも確認がしやすくなります。
このラインアップ表の作成には時間が掛からず、まとめることで担当者が見逃していた機能も再発見できます。
特に新入社員や担当歴の短い社員は商品知識の習得も早くなり、接客もしやすくなります。
商品知識の習得は担当者個人が行う業務ですが、「生きた商品知識」の有無が店舗の売り上げを大きく左右するため、店長が部下に実施する教育項目にもなってきます。
それには、定期的な確認と習得のシステム作りが必要です。
ここに記載した内容は、新入社員をはじめとする担当者が行う内容ですが、フロア長・コーナー長は確認を行うことで自身の知識を伸ばすことができます。
また、副店長には商品知識を向上させる「仕組みの作り方」を指導できるなど、各層へのOJTであるといえるでしょう。
お客様には、強引な振替販売を行うのではなく、生きた商品知識で実際の使用状況とベネフィットを掟案することが、「納得しての購入」と「今後の顧客維持」に大きな影響を与えるため、積極的な習得が望まれます。
一級販売士 堀田泰希
堀田経営コンサルティング事務所 代表
●カスタマー・クリエーター
●1962年生まれ 大阪府大阪市出身
●大手家電量販企業の幹部職を務め、2007年 堀田経営コンサルティング事務所を創業。マーケティング・営業に特化した研修・コンサルティングを行い、一部上場家電量販企業、大手家電メーカー販社での企業内研修は年間約60本を数える。中小企業は大阪限定とし、年間延べ100回を超えるコンサルティングを実施。
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