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流通小売業で一番の基本となる数値が売上総利益(粗利額)です

売上総利益(粗利額)について

[記事公開日] 2008/08/01

[最終更新日] 2019/08/17

売上総利益(粗利額)

売上総利益(粗利額)について

売上総利益(粗利額)は企業の付加価値といえるもので、「商品を販売していくら儲かったか?」ということを示しています。

 

この売上総利益(粗利額)から人件費や店舗の家賃地代など、様々な経費が引かれていき、最終の利益が確定するため、いわば最初の入口の利益といえるでしょう。

 

もし、全ての経費の額が変わらないとすれば、当然、売上総利益(粗利額)が多ければ多いほど、営業利益以降の利益幅は厚くなってきます。

 

そのため、売上総利益(粗利額)は販売員にとって一番身近な利益となり、売上高から売上原価を引いたものになります。

 

売上総利益(粗利額)=売上高ー売上原価

 

ここで売上原価という言葉が出てきましたが、簡単に言えば小売業の場合「仕入れに使用した費用」のことを表します。

 

ただ、商売は1年間という期間の区切りがあるため、「今期が始まるときにいくら在庫金額があったか?(これを期首商品棚卸高といいます)」、「今期が終わった時にいくらの在庫金額になっていたか?(こちらを期末商品棚卸高)」ということを考慮する必要があります。

 

これを式にすれば、

 

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高ー期末商品棚卸高

 

———となり、今期が始まるときの在庫分に、今期仕入れた分を足し、今期最終の在庫分を引くというものです。

 

これは、今期末に残った分は計算に入れず、実際に売れた分だけで計算するということで、在庫を考慮しているため、店舗単位・企業単位での把握となります。

単品の粗利額について

ここで少し、単品商品の粗利額について触れておきましょう。

 

特に家電量販店のように「この商品、もう少し安くならない?」というように価格の相対交渉がある場合は、この単品の粗利額がそれぞれの取り引き(お客様ごと)で変わってくるため、管理しにくくなります。

 

この場合の式は、

 

単品粗利額=単品売価ー単品仕入額

 

ーーーとなります。

 

例えば、単品売価が10,000円、単品仕入額が7,000円ならば、

 

単品粗利額=10,000円ー7,000円=3,000円

 

ーーーの3,000円となります。

 

ここで注意したいのが、この3,000円全てが純利益ではなく、ここから人件費や家賃地代など、様々な経費が含まれているということです。

 

そのため、「売り切りたい」からと安易に値引きに走れば、全く利益が残らないということも起こります。

 

こういった値引きを防止するため、仕入れ値(ネット:NETと呼ぶ企業もある)を販売員にわからないようにしている企業も多いですが、経験をつむとある程度は想定できるため、役職者の管理が重要になっています。

 

ネット通販専業企業の価格に安易に合わせたり、値引きを要求されていないのに端数を切るような接客は慎むようにしましょう。

 

値引きをすれば販売価格が下がり、粗利だけでなく売上高にも影響を及ぼし、その分、数を売らねばならなくなるため、売上予算・粗利額予算共に達成が難しくなることを常に意識するようにしてください。

粗利額(売上総利益)の増加と確保について

この売上総利益(粗利額)の増加を実現するには、どうすればいいのでしょうか?

売上総利益(粗利額)のグロスを増加させるには、主に次のような取り組みが挙げられます。

  1. レジ客数の増加
  2. 振替販売
  3. 総販売台数の計画的増加
  4. 売上値引、売上戻りの合理的抑制
  5. 仕入値引、仕入戻しの合理的増加

まず、1の「レジ客数の増加」ですが、今の状態でレジ客数が純増すれば仕入原価をわったマイナス粗利で販売しない限り、例え粗利率は低くとも粗利額の総額は増加します。

 

また、2の「振替販売」については粗利額の少ない商品から粗利額の高い商品に振り替えて買っていただくということです。

 

例えば、Aという商品の1台あたりの粗利額が100円で販売台数10台、Bという商品の1台あたりの粗利額が200円で販売台数10台とすれば、現在の粗利額は、

 

(商品A)100円×10台=1,000円

(商品B)200円×10台=2,000円

 

———となり、粗利額の合計は3,000円となります。

 

ここから、商品Aの10台の販売台数のうち、5台を商品Bに振り替えることができれば、

 

(商品A)100円×5台=500円

(商品B)200円×15台=3,000円

 

———になり、合計3,500円と、お客様の数は増えていないのに500円の粗利額が増加します。

 

もちろん、考えるだけでこういった振替販売は実現しないため、比較展示や商品知識、商品Bを購入した場合のお客様のベネフィットなどを伝えれるよう準備することが大切です。

 

次に3の「総販売台数の計画的増加」ですが、これは1の「レジ客数の増加」と共通する部分もあります。

 

例えば「今日は購入予定のないお客様」が展示を見てウォンツを喚起され、衝動買いされればレジ客数は増加し、粗利額の総額は増加します。

 

これを「今日、特定の何かを購入しに来られたお客様」にも衝動買いをしてもらえれば(買上点数の増加)、同じく粗利額の総額は増加するということです。

 

4の「売上値引、売上戻りの合理的抑制」とは、対お客様への取り組みです。

 

当たり前のことにはなりますが、値引きをすれば粗利額は減少します。

 

そのため、値引きを要求されてもでき得る限り、値引き幅を抑制することが大切です。

 

また、返品を受ければ売上高も粗利額も減少するため、返品にならないような接客が望まれます。

 

最後に5の「仕入値引、仕入戻しの合理的増加」とは、4の対お客様の取り組みの逆で、メーカーや卸に対する取り組みになります。

 

要は仕入れ値を安くしてもらうようにすることです。

 

家電量販業界では本部商談と呼ばれ、週一回の定期商談や新製品発売時に定番を取りに行く新製品導入商談などがあり、家電量販企業では「売り」と同じく、「買い」は花形の職種となっています。

 

ただ、メーカーや卸にしても「仕入れ値を安くして欲しい」と言うだけでは値下げに応じてくれません。

 

その材料として、

  1. 旧製品の残数状況
  2. 競合企業のチラシ、サイトでの低価格訴求
  3. 台数、日にちを決めての拡売の約束→キャンペーンや集中拡売日の設定 etc 

———などが挙げられ、バイヤーはこういった情報をフルに活用しています。

 

逆にメーカーや卸からすれば、「仕入れ値を安くするということは自社の粗利額を落とす」ということになるため、注意が必要です。

 

特にデメリットの意味合いが強い①と②については、どう切り返していくかという準備が必要であり、もし準備を怠れば「商談」という商売の醍醐味の一つである「駆け引き」に勝つことはできないでしょう。

 

流通小売業として「仕入値引、仕入戻し」を活用することは、自社にとって利益をもたらしますが、4の売上値引・売上戻りの場合を考え、仕入先の気持ちも理解せねばなりません。

 

根拠に乏しい行き過ぎた仕入値引の要求は、一時的な利益をもたらすかもわかりませんが、長期的には仕入先との関係を悪化させます。

 

また、自社都合の仕入戻しは殆ど見受けられなくなっていますが、相手も商売である以上、将来的なネット(仕入原価)の上昇をもたらす可能性を秘めているため、良識を持って行動することが大切です。

ここがポイント

  • 売上総利益とは、売上高から売上原価を引いたものです。
  • 売上原価とは、簡単に言えば小売業の場合「仕入れに使用した費用」のことです。
  • 粗利額を増加させる取り組みには、どのようなものがあるかを理解しましょう。

まとめ

まとめ

1つの取り引きに関する利益増加と顧客満足は、そのままでは基本的に相容れない項目です。

 

目先の利益志向に走り、結果としての客数減少を招かないよう、細心の注意を払って不要値引きなどを抑制することが望まれます。

 

ただ、お客様は価値と価格の比較をして、納得すれば購入されます。

 

価値に気付かせ、感じていただく接客が必要であり、その多くが販売員からの情報提供になるため、販売員一人ひとりの販売力を高めることが大切です。


 

一級販売士 堀田泰希

堀田経営コンサルティング事務所 代表

●カスタマー・クリエーター 

●1962年生まれ 大阪府大阪市出身 

●大手家電量販企業の幹部職を務め、2007年 堀田経営コンサルティング事務所を創業。マーケティング・営業に特化した研修・コンサルティングを行い、一部上場家電量販企業、大手家電メーカー販社での企業内研修は年間約60本を数える。中小企業は大阪限定とし、年間延べ100回を超えるコンサルティングを実施。

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