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堀田経営コンサルティング事務所
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インストアプロモーションには多くの手法があり、今回は「イベント」について記載しています
[記事公開日] 2010/03/03
[最終更新日] 2019/09/14
図表1:イベントの3類型
インストアプロモーション(ISP)、なかでもイベントの目的は、買上点数の増加、来店客数の増加、店内への顧客誘引、売り場への誘引、購入予定商品の購買決定などを促進することです。
この類型を表したものが図表1です。このイベント3類型には共通する問題点があります。それは、「たまたま店に来たら、ちょうどイベントを行っていた」というものです。
ここで一度、原点に戻って考えてみましょう。
イベントを行うには多かれ少なかれ費用が掛かります。
メーカーから企画提案された場合、費用の多くがメーカー協賛金によって捻出されることもあります。
ただ、メーカーも費用負担するときには「実績」が必要になります。
それにもかかわらず、「たまたま・・・」といった状況では、実績が上がるとは考えにくく、少なくともイベントによる集客効果は「0(ゼロ)」だと言えます。
「たまたま」ではなく、「狙ったターゲットに認知してもらい、呼び込む」ということが大切です。
実績の出ないイベントを続けているとメーカーの協力も得られにくくなってしまいます。
また、当日には販売応援でメーカーやキャリアから人的支援も受けています。
応援員(短期)については、「労働者派遣法」などがあるため、法令順守の姿勢が非常に重要です。
応援者に対する指揮命令権は派遣先であるメーカーにあります。
勿論、店側は採用権も無く、受入れ前の事前面接も行えません。
このため、応援者の動きが悪く、期待した成果が出なくとも店舗側では指導することができません。
現在、多くの店舗が応援者や常駐ヘルパーとの付き合い方に困惑されています。
「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」の運用基準、告示第7項(納入業者の従業員等の不当使用等)では、『従業員等の「等」には、納入業者の従業員のほか、①納入業者が委託した労働派遣事業者の派遣労働者、②大規模小売業者から紹介を受けた労働派遣事業者の派遣労働者等が含まれる』と記載されています。
これにより、メーカーセールスと応援者・ヘルパーは同様と考えられますので、判断に困ったときは、メーカーセールスに対する対応を思い出して下さい。A社のメーカーセールスに対して、「B社の商品を拡売して欲しい」とか「清掃を実施して欲しい」とは言っていないはずです。
これらを前提にイベントを成功させるには、メーカーとの詳細な事前打ち合わせが重要であり、全準備期問は1カ月-1カ月半が必要です。
図表2はイベントの準備手順ですので参考にして下さい。
この準備手順の中で、特に注意するのが、次から説明する4項目です。
図表2:イベントの準備手順
拡売する商品や実施内容が決まれば、「誰に買って頂きたいのか?」を考えることが非常に重要です。
例えば、商品を脱毛機に設定した場合、高齢者や独身男性にアピ-ルしても効果的ではありません。
また、アプローチ方法はレジ袋へのリーフ挿入か、店頭での見込み取りか、POP訴求か、DM発送か、チラシか、などを自店の状況を考慮して行わねば軽費負担が大きくなるので注意が必要です。
メーカーとの交渉に入る時には、必ず計画書を作成して下さい。
計画書は要旨をピックアップした簡単なもので結構ですが、メーカーセールスとの意思統一は重要です。
イベントは、ほぼ毎週入るでしょうから、詳細な計画書を作成する時間は無く、長続きもしません。メーカーからイベントの実施を持ちかけられた場合も同様です。
口約束だけでは、どうしても準備段階に不備が生じてしまいます。
ここで重要なことは、計画の中で「どのようなイベントにしたいのか」を明確にすることです。イベント成功の構成要素は、事前準備や告知、装飾、応援者派遣などです。
「実施内容や主旨、催しの雰囲気」を明確にすることで、店舗側が一構成要素にすぎない応援者の在り方に言及しなくとも、指揮命令権を有するメーカーが実施に必要な全体像をつかみやすくなります。
もちろん、応援者を強制することはできませんので注意して下さい。
実施当日は応援者のパフォーマンスをメーカーにチェックしてもらいましょう。
また、スムーズな準備を行い、自店の意気込みをアピールするためにも計画書は必要です。
メーカーセールスも計画書があれば社内調整を進めやすく、具体性も出てくるため、実施に向け全力を尽くしてくれます。
図表3は計画書の見本ですので参考にしていただければと思います。
図表3:イベント計画書
携帯電話のイベントの場合、慣れた応援者がほとんどですが、調理器具などは短期契約で、初めて家電量販店の売り場に立つ方が増えています。
売り場では分からないことも多いでしょう。
不明点は誰に聞けばいいか、接客の流れや範囲等を明確にすることでヘルパーも働きやすくなります。
店舗側では「店内会議での企画説明で応援者の業務範囲を明確にし、指揮命令権を有さないことも説明」します。
加えて、応援者の業務フォローと常識ある接し方を全社員に説明して下さい。
応援者が質問にきた時に、横柄な態度を取られると、その後の質問がしにくく、自己判断で動くようになり、トラブル発生の原因にもなります。
常識ある態度で接することで、応援者の心理的負担を削減し、イベントに専念してもらうことが必要です。「楽しさ」と「華やかさ」が成功のポイントになってきます。淡々と実施していては、実績につながらないため、ヘルパーの働きやすさも考慮しましょう。
特に「集客日的」や「回遊性促進」のイベントで特定商品が無い場合、いかに売り上げにつなげるかということが重要です。店舗全体の雰囲気作りも考えねばなりません。
この場合、集客を利用して「衝動買い」を誘引し、「買上点数」の増加を狙います。
ワゴンやプランタの展開を充実させ、小物商品の品切れに注意して下さい。各商品のボトム訴求や山積みでの限定訴求も効果的です。
スタンプラリーでは、各売り場にスタンプを配置するだけでなく、スタンプの周りにプランターを使用し、ターゲットにあった商品を展示します。
例えば、食玩や子供向けDVDソフト(空箱訴求)です。
加えて「買い忘れはないですか?」の主旨のPOP訴求をし、記録メディアや乾電池などの消耗品を置きます。
記録メディアを置く場合、テレビの番組表をPOP化するのも効果的です。
そのうえで、各スタンプまでの経路上のエンド展開に力を入れます。
エンドは割安感を中心に訴求しますが、提案展示では「気付かせる提案展示」も必要でしょう。
例えば、ホームバリカンでは“物価高の時の節約’’をイメージさせる展示訴求を実施している量販店もあります。
このように、集客が期待できるイベントでは、お客様に「もう一品」多く購入していただける訴求を行いましょう。
せっかくのメーカー支援を無駄にしないよう、予算から展示展開、運営方法、雰囲気まで、全ての項目を計画しましょう。
今回紹介したイベントをはじめ、展示・売場訴求など、全てのインストアプロモーションでメーカーの提案によるものは、自店だけで取り組むよりもメーカーとよく打ち合わせを行い、準備を徹底させることが実績につながります。
普段からメーカーセールスと良好な関係を構築し、意欲的な態度で実績を作り出すことが、継続的な支援をもらえるポイントだと言えるでしょう。
一級販売士 堀田泰希
堀田経営コンサルティング事務所 代表
●カスタマー・クリエーター
●1962年生まれ 大阪府大阪市出身
●大手家電量販企業の幹部職を務め、2007年 堀田経営コンサルティング事務所を創業。マーケティング・営業に特化した研修・コンサルティングを行い、一部上場家電量販企業、大手家電メーカー販社での企業内研修は年間約60本を数える。中小企業は大阪限定とし、年間延べ100回を超えるコンサルティングを実施。
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