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ネット通販のデータ分析など、多くの取り組みはリアル店舗の参考になります

ネット通販に学ぶ店頭展開

[記事公開日] 2012/10/19

[最終更新日] 2012/10/19

ネット通販に学ぶ店頭展開

対ネット通販の守備を固める第一歩として、家電量販企業はネット通販への認識を改める必要があるのではないでしょうか?

 

それは、「本来はリアル店舗の強みであるべき情報発信の質と量(売場訴求)で、家電量販店はすでにネット通販に負けている」というということです。

 

「いや、売場訴求がネットに負けているはずはない」という声も聞こえてきそうですが、移り気なお客様をサイトにとどめるためのネット通販のさまざまな工夫について知れば、その強力な情報発信力を理解できるでしょう。

 

ネット通販では、商品について分からないことを販売員に聞くことができないので、お客様が購入を決断するために必要な情報をサイトだけで提供する必要があります。

 

判断するための十分な情報がないと、お客様はすぐにサイトから離れます。

 

ネット通販はこのような機会損失を避けるために、お客様に発信する情報の内容を絶えず見直し、改善しています。

 

ネット通販サイトの強みとして、「物流」・「価格」・「品揃え」の3点が挙げられますが、それ以上に「購入完結までのわかりやすさ」と「閲覧者の行動観察」が非常に大きな強みだと筆者は考えています。

 

図1:は「リアル店舗の参考になる通販サイトの仕組み」ですが、リアル店舗に置き換えた訴求方法を記したので参考にしてください。

図1:「リアル店舗の参考になる通販サイトの仕組み」

項目

「●」はネット通販がサイトで実施している内容

「→」は上記をリアル店舗に置き換えた場合の内容

①ターゲティング

●接続元の地域分析と活用

→自店商圏の把握、顧客特性の分析と品揃え・訴求拡大商品の店頭展開

→ターゲットに向けたエンド提案 etc

 

●新規、会員比率の分析と活用

→会員比率の分析は本部で実施中

 

●リピート比率の分析と活用

→来店までの期間・回数の把握(地域電器店は実際に活用)

ニーズの把握・価値の提供

●検索キーワードの分析

→発見しやすい売場作り

→シーズン別商品動向の把握による売場づくり

→話題の商品の展示訴求

→エンド利用、山積み、価格POPのメリハリ etc

 

●支払方法の明示

→高額商品・拡販指定商品への単品のクレジット訴求

→自店と競合(ネット含む)のサービス比較と自店独自サービスの強調

 

●閲覧コンテンツ

→スペック+「利益(ベネフィット)」・「シチュエーション」の訴求と説明

 

●ページ進入経路の分析

→接客によるアナログ情報の収集と活用(例:どの商品と比べられたか?、どの商品を良く見られていたか?)

 

●同時購入商品の分析

→セット組みの強化、アイテムを絞った隣接展示

→クロスMDによる積極的な非計画購買の仕掛け

 

●メルマガ送付とサイト誘導率

→見込み取りとお得意への個別接触(手書きハガキ、電話など)、カード会員への本部施策 etc

③買い易い仕組み

●商品別コンバージョン率の分析

→成約率の向上

→売れ筋の露出度強化(自社ベスト20と自店ベスト20の比較を実施 etc

→接客技術の向上、機能説明からの脱却(ベネフィット説明)

 

●配送地域、配送期日や購入条件の明示

→物流在庫、メーカー在庫の把握、配達・工事能力の把握、在庫の明確化(買上カード・ナンバーリングのメンテ、在庫場所の明確化、店頭在庫の取りやすさ etc

 

●タイムリーで分かりやすい価格表示

→電子プライスの導入

→期間限定、台数限定などの限定訴求での特別価格訴求

→条件の明示

→ポイント訴求のわかりやすさ

→回線契約ポイントのわかりやすさ

→ランクアップ商品への差額のわかりやすさ

→トリプルプライス以上のプライス撤去

 

●カートの設置と利用率の分析

→買い物カゴの位置確認、小物商品を手した顧客への買い物カゴの手渡し

 

●ワンクリックショッピング

→レジ位置の明確化、レジ待ち時間など顧客の非裁量時間短縮

→顧客の買い物想定時間内の追加提案の実施(インセンティブ商品など)

 

●サイトのレイアウト設定

→店舗内の回遊性向上(通路幅が物理的に狭くなっていないか?、視界が遮られていないか?など)

 

●サイトマップの設置

→店内レイアウト図の明確化(分かりやすい表示と位置、リーフや看板の採用)

→「チラシ・DM掲載小物商品」や「今月の特選品小物商品」の展開場所の明確さ

 

●タイトル、見出し

→催事・フェアの告知パネル、店外ノボリなどの採用、店内ではコーナー表示

 

●活用事例、クチコミ評価の掲載

→おすすめNo.1・2・3POP、販売員のお薦めPOP(顔写真入りで実施)、お客様の声POPなど

どの項目もリアル店舗が強みを発揮しやすい項目ですが、「高付加価値の集中拡売機種に単品でのクレジット訴求がない」など、基本的な項目も徹底されていない店舗が多いのが実状です。

 

リアル店舗では、実機を展示している安心感から、商品説明や情報提供で「すでにネット通販に負けている」とは気付きにくいのです。

 

また、ネット通販では「サイトを開きさえすれば、必要な情報(ただし、主に機能・スペック止まり)を閲覧できる点でも優位に立っています。

 

これがリアル店舗であれば、商品説明を受けるためには、まず販売員をつかまえなければなりませんが、肝心の販売員がつかまらなければ、お客様は「待つ」か「あきらめて帰る」しか選択肢はありません。

 

「ネット通販は安いだけが取り柄」と考えるのは間違いであり、リアル店舗は図1に記載されている基本項目をチェックし、「商品説明」「買いやすさ」「関連商品の情報発信」を徹底していく必要があります。

大手ネット通販の訴求を参考にしよう!

図1で、通販サイトの訴求内容をまとめましたが、特に参考にしてほしいのが「大手ネット通販企業」の訴求です。

 

【ネットに対するリアルの「強み」と「弱み」】の「ネット通販企業に対する家電量販企業のシンプルSWOT分析」で指摘した通り、大手ネット通販企業の強みは「ビッグデータの活用」によるきめ細かい商品提案にあります。

 

家電量販企業では、販売データはPOS データとして集積されるものの、それはあくまで「販売した結果」に留まっています。

 

また、販売で非常に重要な項目である、お客様が「どの商品と比較したか?」「購入後にどのような行動をされたか?」といった、お客様の購買行動はPOS情報では基本的につかめません。

 

一方、ネット通販では、購入履歴はもちろん、「サイト内のページ移動履歴」で「どのような商品と比較されたか?」「購入後によく見られている商品は何か?」というデータも把握できるため、お客様の関心と合致した商品・関連商品を提案することができます。

 

さらに、集積されたデータから「よく比較される商品」も表示されるので、お客様は「自分の好みにあった商品を短時間で多く見れる」といったメリットもあります。

 

リアル店舗でも、気が利く担当者ならば「最近、商品Aを販売するときに、商品Bと比較されるお客様が多い」と感じれば、商品Aの横に商品Bを展示するでしょうが、実際はそこまでできる担当者はそう多くはいません。

 

また、アナログ情報(お客様の行動)の取集や活用の精度は販売員によって変わってくるため、提案の精度にも差が生じます。

 

この「販売員によって差が出るアナログ情報の収集・活用」ではなく、お客様の行動までデータ化し、活用できるところにネット通販の強みがあります。

図2:大手ネット通販企業のサイト訴求のイメージ図

ネット通販イメージ

図2は大手ネット通販企業の商品ページのイメージ図です。

 

ここでは「商品の仕様」「在庫情報」以外に、

  1. この商品とよく一緒に購入されている商品は?
  2. この商品を見た後に買っているのは?
  3. 関連商品
  4. この商品を買った人が、ほかにどんな商品を買っているか?
  5. 信頼感を高めるカスタマーレビュー

―――というように、ビッグデータを活用した提案が多く、充実した関連情報を提供しているのがわかります。

 

ここでリアル店舗を思い出していただきたいのですが、いったい、どれだけの店舗が「一緒に良く売れる商品」や「よく比較される商品」を横に隣接展示しているでしょうか?

 

ひょっとすれば、横への隣接展示どころか、どの商品がそれに該当するかをつかんでいない可能性もあります。

 

こういったことから「リアル店舗の売場は、すでにネット通販に負けている」と考えられます。

 

しかも、本来なら「リアルの強み」であるはずの「展示」において負けているのです。

 

大手ネット通販企業、例えばアマゾンで自社の「拡販指定商品」を検索し、そのページに出てくる「この商品とよく一緒に購入されている商品」を横にならべ、セットプライスを付けるだけでも「同時購入の可能性」は高まります。

 

アマゾンの表示はデータに基づいた提案で、「実際にそれを購入しているお客様が多い」ため、リアル店舗の展示に応用することが大切です。

 

具体例として、アマゾンでシャープのクリーナー「EC-PX200-P」(プラズマクラスター搭載のサイクロンタイプ)の商品ページを見ると、「よく一緒に購入されている商品」として、象印の圧力IH炊飯ジャー「NP-NC10-TC」が表示され、セット購入の割引きサービスもしっかりと提案されています(確認日はこの原稿を記載している2012年10月19日現在)。

 

このような、商品カテゴリーを超えた訴求(クロスMD)は、リアル店舗の売場活性化にも役立つ情報です。

 

POPなどを工夫し、セット展開や追加提案することも客単価UPに必要な試みではないでしょうか?

 

ぜひ自店の売場で、上記1~4の商品がどのように展示されているかをチェックし、セット購入の提案に役立てて欲しいと思います。

 

また、5のカスタマーレビューを見れば、お客様が「どういったところに感動・感心したか?」ということもわかります。

 

カスタマーレビューに関しては作為的なものもあるでしょうが、家電量販店の販売員(プロ)が見れば「使える記載内容」「誇張された記載内容」などの分別は容易につくはずです。

 

これもPOPづくりの参考になるため、「拡販指定商品」については確認をおすすめします。

 

以上、ネット通販から学ぶ展示展開として、ネット通販のサイトを参考・逆利用する方法を紹介しました。

 

これらは、「リアル店舗の強み」を活かすための最低限の取り組みと認識していただきたいと思います。

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