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ネット通販の普及による、リアル店舗でのお客様の購入パターンの変化について記載しています

ネットが関係するお客様の購入パターン

[記事公開日] 2012/10/30

[最終更新日] 2012/10/30

ネットの購買行動

ネット購入が一般化した今、顧客の購入パターンは次のようになっています。

  1. ネット価格を意識しないお客様
  2. ネット価格を店頭で提示するお客様
  3. 店頭で商品を確認し、ネットで購入するお客様
  4. 一度も来店せず、ネットで購入するお客様

「1.ネット価格を意識しないお客様」は従来通りの購入パターンのお客様ですが、購買に際して「店舗選択の候補に入る」ことが重要です。

 

このパターンへの対応としては、「顧客管理の徹底と活用」が重要になってきます。

 

基本項目である、

・接客技術、提案力

・クリンネス、整理整頓

・売場訴求(展示・POPなど)

―――の精度向上を前提としたうえで、「顧客管理」の深度を深めましょう。

「2.ネット価格を店頭で提示するお客様」への対応は「取る/取らない」(購入に結び付けるかどうか)の問題であり、店舗の取り組みになってきます。

 

注意したいのは、応じる場合に「すんなりと価格を合せていないか」ということです。

 

ネット価格を持参するお客様は「値段が一緒ならこのお店で買いたい」から来店し、販売員に声を掛けるのです。

 

「このお店で買いたい」という思いが無ければ、販売員に声を掛けませんし、「そもそもネットが安い」という判断だけなら、自宅でそのときに注文すればいいことでしょう。

 

にも関わらず、「お店に来店いただいている」のです。

 

本来、店舗にとって非常に「ありがたいお客様」なのです。

 

この「自店で購入したい」というお客様には、

自社で購入するメリット

自店で購入するメリット

あなた(販売員)から購入するメリット

―――を説明することが有効です。

 

例えば、商品の使い方がわからない場合、ネット通販はどう説明してくれるのでしょう?

 

「私から購入いただき、もし使い方がわからないときは、いつでもご来店ください。接客中なら少しお待ちいただくかもわかりませんが、空き次第、ご説明させていただきます!」

―――という説明で「安心」というメリットをお客様に提供できます。

 

筆者は多くの大手家電量販企業の販売員に研修を実施していますが、受講生(販売員)に「自社店頭価格10万円、ネット通販で7万円。この条件だとすると、あなたの企業の看板・提供しているサービスで、ネット通販よりいくら高く買っていただけますか?」と問いかけています。

 

筆者の説明前だと、殆どの販売員は上記3つのメリットも答えられませんが、丁寧に説明したあとなら、「自社の看板・サービスで1万円は高く売れる」という答えが圧倒的に多くなります。

 

そこで、「今まで3つのメリットを説明していましたか?」と聞くと、「いいえ」の答えが返ってきます。

 

「今後はメリットを説明して、適正な価格で商品を提供しましょうね?」と問いかければ、即座に「はい」という返事が返ってきます。

 

受講生の皆さんは「接客のプロ」ですから「このメリット説明で値引き防止できる」ということに気付き、納得してくれたのでしょう。

 

このようにお客様に「どれだけ自社・自店・あなたから購入するメリットを説明できるか」で値引きは防止できるのです。

 

「このお客様は、なぜ、そのままネットで購入せずに私に声を掛けられたのか?」ということを考えれば、すぐに答えは見つかります。

 

また、自店のファンということに加えて、これだけネット通販が台頭してくると「失敗した経験」を持つお客様も増加していることを見逃さないでください。

 

例えば、ネット通販の

初期不良交換の期間を把握しているか?

返品、交換の手順を把握しているか?

―――は非常に重要なことであり、「お客様に掛かる手間」を説明すれば自社の優位性を認識していただけます。

 

この点を踏まえ、接客時に「よくネット通販をご利用されるのですか?」と、ぜひ問いかけてみて下さい。

 

もし、お客様がネット通販で失敗経験を持っていなくても、「失礼しました。最近、ネットでのサポートの不満をよく耳にしますので・・・」などと切り返せば、自社サポート体制をアピールできます。

 

このお客様を「取る」と決めたら、あとはお客様が持参したネット価格より「いくら多く取れるか」が勝負です。

 

自店のサポート体制、ネット通販企業のサポート体制を頭に叩き込んで勝負してください。

「3.店頭で商品を確認し、ネットで購入するお客様」は、ネット価格の優位性を強く認識しており、ネット価格を確認しなければ気が済みません。それだけ「価格」や「自分が享受できるメリット」に敏感だといえるでしょう。

 

また、このパターンへの対応が難しいのは「販売員と接触せず、黙って帰られる」という可能性が高いところにあります。

 

つまり、店頭においても「安さ感」の演出が必要で、「へえ~。」という意外性を提供することが大切なのです。

 

ネット通販での購入など、「自分が商品を選んでいるお客様」は「必要最低限」の機能で検索を掛けることが多く、付加価値商品の存在やそこから生まれるベネフィットを知りません。

 

「知っていれば、その商品を購入したであろう」「知らないで購入したために、不都合にも気付かず耐久年数の期間、漠然とした不満をいだく」というのはお客様にとって、このうえない「不幸なこと」だと思わないでしょうか?

 

これが「新しい発見」ができなかった状態です。

 

また、なんとなく「そのカテゴリーの商品を買い替えたい」という場合、例えば「パソコンをそろそろ買い替えようか?」というように「型番指定されていない場合」はネット通販では比較検討が難しいため、商品選定に時間が掛かるなど心理的負担が大きくなるという欠点も持っています。

 

店頭でPOP訴求強化や比較展示、ボトム商品の利用による「価格訴求」を使いこなし、「付加価値」「サービスメニュー」「価格」への「新しい発見」を提供して下さい。

「4.一度も来店せず、ネットで購入するお客様」は、店舗としての対応が一番困難なパターンです。

 

1~3のお客様には「相対」する機会がありますが、ネットで購買行動を完結するお客様は会うことすらできません。

 

そのため、各家電量販企業はo2o(図1参照)にも積極的に取り組み、店舗への支援を行っています。

図1:o2oのイメージ

o2o

 

「①ネット⇒リアル店舗への誘引」として総務省の「平成25年版情報通信白書」では下記のような「活用タイプ」と「内容」が挙げられています。

活用タイプ内容

A:SNS連携

(ソーシャルコマース)

サイト上での検索結果、ソーシャルメディア上の説明や口コミなどの情報から、商品・サービスの購買へつなげる。
B:ソーシャルギフト知人・友人に対して商品・サービスを購入できるギフトをメールなどで配信する方法。

C:共同クーポン購入

(フラッシュセール)

期間内に目標人数が注文することで割引クーポンを購入できる仕組み。そのクーポンを利用して、ユーザーは商品やサービスを割引き価格で購入できる。協働クーポン購入サイト、クーポンサイトと呼ばれる。
D:割引クーポン・ポイント事前登録することで店舗などから割引を受けることができるクーポンが配信され、スマートフォンの画面を店舗側に提示することで割引価格にて商品・サービスを購入することができる。

E:実店舗とECサイト情報連携

(ポイント共通化、購買情報の管理、移転等受け取りなど)

ECサイトと実店舗のポイントを統合し、共通化する。他社同士のポイントを共通化、交換する方法も見られる。ECサイトと実店舗の商品情報や購買情報を共有し顧客への提案力を高める取り組みもみられる。
F:ネットスーパーECサイトから注文を受け、最寄の店舗等から購入商品を届けるサービス。

出典:総務省平成25年版情報通信白書

家電量販企業ではこれらの「活用タイプ」に加え、「ゲームでポイントを貯めて、貯めたポイントが店舗で使える」「ゲームのアイテムを取得するには店舗に行かねばならない」というものをはじめ、様々なo2oの取り組みを行っています。

 

これらは基本的に本部の取り組みとなり、「新聞折り込みチラシの掲載内容」と同様に一営業店としては、どうしようもないことです。

 

しかし、その内容を熟知し、本部施策と売場訴求を連動させ、最大限に利用することはできます。

 

また、o2oと言えば、通常、「①ネット⇒リアル店舗への誘引」という印象が強いですが、図1のように「②リアル店舗⇒ネット店舗への誘引」もあります。

 

特にこの「②リアル店舗⇒ネット店舗への誘引」が大切だと筆者は考えています。

 

自社ネット通販と店頭価格が違う家電量販企業が多いですが、あと少しの値引きで折り合いがつかず「売り逃す」ならば、その場で自社ネット通販をおすすめして登録・購入していただければ「会社全体の売上高」に貢献できます。

 

ただ、この店頭での自社ネット通販購入促進の問題点として、

①売上高が店舗売上高、個人売上高に反映される仕組みがなく、ネット通販部門の売上高になれば店舗従業員のマインドが下がる。

―――ということが考えらます。

 

②また、①の仕組み作りを行えば行ったで、“値引きを言われた場合”、安易にネット通販をすすめ、交渉次第で確保できたはずの自社ネット通販価格との差額売上高と粗利額を逃してしまう。

―――というデメリットも考えられます。

 

非常に難しい問題ですが、①・②を考えると可能な限り、「店頭価格と自社ネット通販価格の一致」が望ましいといえるでしょう。

 

余談になりますが、こうなれば商談が厳しくなり、商談の範囲に「ネット通販専業企業」も入る可能性が高くなり、メーカーにとっては痛手になります。

 

メーカーとしては「特定型番商品」を卸す家電量販店、卸さない家電量販店を選別するなど、部分最適の商談ではなく、各家電量販企業を相手にした全体最適の商談が行えるよう「メーカー本部担当の商談力強化」が必要になってくるでしょう。

 

ネット通販での購入がさらに一般的になることを考えると、「一度も来店せず、ネットで購入するお客様」は今後も増加すると考えられます。

 

その時、お客様に情報提供の連絡がしやすいように「会員(ポイントなど)カード」をキッチリと獲得しておくことが重要です。

 

また、店舗に来る動機を持たないお客様に来店動機を持たせるには、同じ土俵にあがらず、自社ネット通販サイトの整備を行いつつも、「店舗でしか実施しない特売セール」などの予告をサイトとリアル店舗の双方で行い、来店動機付けから着手することが大切です。

 

そのうえで、タイムバーゲンや台数限定など、ネット通販よりも安いと感じさせるような「安さ感」「見せ方」を考えることで、店舗へ足を運ぶ動機付けも行えるはずです。

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